博士は大隅の覚醒に

 博士は大隅の覚醒に、なんの愕きの色もあらわさなかった。そして躊躇するところもなく、オメガ光線を遮ぎってあるシャッターの釦に手をかけた。ああ、次の瞬間、その怪光線は、大隅学士の右半身の上に落ちかかろうとしている。そこに如何なる異変が発生することであろうか。博士の実験の材料に成りさがった大隅の運命は、風前の灯だった。丁度そのときだった。
ジリジリジリジリジリン。
 と、けたたましいベルの音が、室の一隅から起った。博士がハッと振りかえってみると、隅のパネルの上に、赤いパイロットランプが、盛んに点滅している。……
「ああ、……丁度、通信の時刻がきたんだナ」
 博士は呟くようにいうと、オメガ光線のところを離れて、パネルのところへ近づいた。博士はしばらくガチャガチャとやっていたが、やがて博士の話し声が聞えてきた。
「ああ、辻川博士です。そっちはどうかネ?」
 と云った言語は、意外にも日本語ではなくそれは世界語の称あるエスペラント語だった。
「そうか。ちょっと待ってくれたまえ。SS五〇一が四ポイント六八か。……SS五〇二が四ポイント七九か。……」

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