ああ、もしもし

「ああ、もしもし。こっちは、ゴールド大使です。スターベア大総督は、ついに第一次から第十六次までの動員を完了しました。渡洋連合艦隊は、あと三時間たてば、軍港を離れるそうです……」
「一体、彼奴らは、どこの国と戦うつもりなのですかね。本当に、われわれを対手にするつもりですかね」
 と、ラヂウム元帥は、問いかえした。
「それは、もちろん、そうなのです。この無電は、秘密方式のものですから、なにをいっても大丈夫でしょうから、いいますが、この前もスターベア大総督は、太青洋の彼方――といいますと、わが祖国、キンギン国のことなんですが、その太青洋の彼方に、別荘を作りたい。そして、一週間はこっちで暮し、次の一週間は、そっちで暮し、太青洋を、わが植民地の湖水として、眺めたいなどと、申して居りましたわよ」
「そうですか。そいつは、聞き捨てならぬ話ですわい。太青洋の伝統を無視して、湖水にするつもりだなんて、許しておけない暴言だ。よろしい。スターベアが、そういう気なら、戦争の責任は、悉く彼等にあるものというべきです。そういうことなら、こっちも遠慮なく、戦うことができて、勝手がよろしい」
 と、元帥は、憤慨して、
「さあ、それではゴールド大使。キンギン国内における軍隊の動きについて、貴下の集められた情勢を、われわれに詳しく話していただきたい」
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