誰だろう、こんどの犠牲は?

「誰だろう、こんどの犠牲は?」
「さあ、蠅男から死の脅迫状をうけとったいう訴えはどこからも来てえしまへんぜ」
「フーム、変だな」
 検事と署長とは、強く首をふった。
「なんだ。誰が殺されるか、まだ分っていないのですか」
 帆村も唖然とした。蠅男は電話でもってたしかに殺人を宣言したのだった。そしてその殺人は、満都を震駭させるほど残虐をきわめたものであるらしいことは、蠅男の口ぶりで察せられた。あの見栄坊の蠅男が、それほどの大犯罪をやろうとしながら、相手に警告状を出さない筈はないと思われる。
 そもこの戦慄すべき犠牲者は、何処の誰なのであろうか。
「来た来た、あれだッ」
 と、そのとき叫ぶ者があった。
 帆村はハッとしてその方を向いた。
 動物園の入口から、一人の老紳士が警官に護られながらこっちへ歩いてくるのが見えた。それは、さっき伝令の警官から報告のあったように、夜の動物園のなかにうろついていた疑問の人物であろう。

不用品回収なら横浜のスマイルファースト Блог пользователя ameni ≫ скачать бесплатно без регистрации
書き込みはまだありません。