帆村は素早く
「なアんだ。誰もいやしない」
廊下には、猫一匹いなかった。それでも彼は念のため、廊下に出て、窓を調べてみた。窓には内側からキチンと錠が下りていた。しかし窓はしきりにガタガタと鳴っていた。真暗な外には、どうやら風が出てきたらしい。帆村はホッと息をついて、自分の部屋に帰っていった。
風は目に見えるように次第に強くなり、ヒューッと呻り声をあげて廂を吹きぬけてゆくのが聞えた。
こうしてひとりでいると、まるで牢獄のうちに監禁されたまま、悪魔が口から吐きだす嵐のなかに吹き飛ばされてゆくような心細さが湧いてくるのであった。
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